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監督 木下惠介 原作 有吉佐和子 脚色 木下惠介 撮影 楠田浩之 音楽 木下忠司


▮あらすじ▮

〈吾亦紅の章〉明治三十七年、紀州の片田舎で三歳の朋子(岡田茉莉子)は父を亡くした。

 

母・郁代(乙羽信子)は二十歳で後家になると、娘の朋子を自身の母・つな(田中絹代

のもとに残し、高坂敬助(北村和夫)の後妻となった。

つなは、そんな娘の身勝手さに呆れながらも、孫の朋子と暮らしていたが、

やがてこの世を去ってしまう。

 

朋子は母・郁代と敬助に引き取られることになったが、貧しい暮らしをしている二人には

朋子を養うことは難しく、小学生の朋子は静岡の遊廓叶楼に半玉(見習いの芸者)として売られた。

 

それから数年の月日が経ち、朋子は母と再会するが、郁代は敬助と別れ花魁となっていた。

 

十七歳になった朋子は、赤坂で神波伯爵に水揚げされ、養女先の津川家の肩入れもあって

小牡丹という名で一本立ちとなった。

ちょうどその頃、朋子は士官学校の生徒の江崎(加藤剛)と知り合い、互いに惹かれていく。

 

〈三椏の章〉関東大震災の後、朋子は二十五歳で、築地に旅館“波奈家”を開業していた。

朋子の頭の中には、江崎と結婚する夢だけがあった。

 

そんな時、神波伯爵の訃報が知らされる。

 

落ち込む朋子に、追い打ちをかけるように、突然訪れた江崎は、結婚出来ぬ旨告げて去った。

母・郁代が女郎であったことが原因だった。

 

四十四歳になった母・郁代は、七歳年下の八らんと結婚したいと朋子に告げる。

多くの男性遍歴をして、今また、結婚するという母にひきかえ、この母のため、

女の幸せをつかめぬ自分に、朋子はひしひしと狐独を感じた。

 

昭和二十年、終戦の頃、八らんと別れた郁代はまた朋子の所に戻ってきた。

戦争で全てを失った二人だったが、再び商売を始めるために立ち上がる。

 

それからしばらくして、朋子は新聞に江崎の絞首刑の記事を見つけた。

 

 

 

香華

◆感想◆有吉佐和子の同名小説を木下惠介が脚色、監督した作品で、前・後編併せて三時間を超える大作です。自由奔放に生きる母(乙羽信子)と、その母に振り回されて好きな人とも結婚もできず、孤独を感じながら生きる娘(岡田茉莉子)の話ですが、この二人が本当の親子のように見えてきて面白かったです。親子喧嘩のシーンが多いので、途中で飽きてしまうかなと思って観ていましたが、演技力があるので全然楽しめました。

岡田茉莉子ひとりで生娘から初老まで演じてしまうのは凄すぎです。気になる方はぜひ観て下さい。オススメです。


アルプスの与太者

映画、音楽、文学、古いものが大好きです。  

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