監督 木下惠介 脚本 楠田芳子 撮影 楠田浩之 音楽 木下忠司 制作 久保光三
▮あらすじ▮
秋本洋一(田中晋二)の家は、ある下町の隅で魚屋をやっており、父・源吉(東野英治郎)、
母・お新(望月優子)、姉・豊子(久我美子)、妹・和枝等の弟妹と七人家族で細々と暮していた。
洋一は船乗りに憧れ、魚屋が嫌いで叔父(日守新一)から貰った双眼鏡を手に
毎日二階から遠くを眺めていた。
姉の豊子は貧乏が嫌いで、恋人の須藤(田村高廣)と結婚の約束をしていたが、
彼の父が事業に失敗したと聞くと彼とあっさり別れた。
次いで豊子は新たに、金持ちの五十男との話を家族の反対をよそに一人で進めていた。
こうした時、源吉は心臓病で倒れてしまう。
洋一は父と母の言葉に、魚屋になる決心をする。
こうした洋一を慰めてくれるのは、双眼鏡に写る少女(有田紀子)の姿であった。
ある日、洋一と友人の原田は双眼鏡の少女の家を探し当てたが、
その少女は、痛々しい病身の身で嫁いで行くところだった。
豊子は、勤務先の課長に親代りになってもらい、五十男の後妻になったが、
別れた筈の須藤と箱根で遊んだりする無軌道ぶりを示していた。
こうした彼女を探す夫の電話に、病をおして出た父・源吉は、崩れるように倒れた。
夕やけ雲
◆感想◆,木下惠介の実妹・楠田芳子が書いたシナリオを木下監督が撮った作品で、元々のタイトルは「青春」。「野菊の如き君なりき」の田中晋二を再び起用した本作は船乗りに憧れていた少年が実家の魚屋を仕方なく継ぐというストーリーですが、様々な試練が主人公・洋一に待っていてちょっとかわいそうになります。意外と涙を誘うようなシーンもあり、地味かもしれませんが良い映画だと思います。78分の作品なのでTVドラマ感覚で気軽に観れるのも良いです。おすすめです。
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