監督 溝口健二 原作 井原西鶴 脚本 依田義賢 撮影 平野好美 音楽 斎藤一郎 監修 吉井勇 助監督 内川清一郎
▮あらすじ▮
奈良の街外れの荒寺に老醜を厚化粧で隠した娼婦のお春(田中絹代)がいた。
羅漢堂に入ったお春は様々な羅漢像を眺めているうちに、
今までに関わってきた男たちの顔を思い出すのだった。
御所に勤めていた頃のお春は、以前からお春に想いを寄せていた公卿の若党、
勝之介(三船敏郎)に宿に連れ込まれたところを役人に見つかってしまう。
お春は両親ともども洛外追放となり、勝之介は斬首となった。
都を追われ、両親とともに息を潜めるように生きていたお春だが、
主君の側室を探していた松平家の家中に見出され、同家に輿入れすることになる。
殿様との間にめでたく嫡子をもうけたお春だが、奥方の妬みにあい、
用済みとばかりに実家へ返されてしまった。
その後、島原の廓に売られ太夫となったお春は田舎大尽(柳永二郎)に
身請けされそうになるが、実は彼は贋金作りで、踏み込んできた役人に捕らえられてしまう。
廓を出て笹屋嘉兵衛(進藤英太郎)の住み込み女中となったお春だが、
今度は笹屋の客の菱屋太三郎(加東大介)によって彼女の前身が分かったことから、
嘉兵衛の妻のお和佐(沢村貞子)に嫉妬され、追い出されてしまう。
実家に戻ったお春は、扇屋の弥吉(宇野重吉)のもとへ嫁入りし、やっとささやかだが
幸福な暮らしを手に入れたかにみえたが、外出先で弥吉が物盗りに襲われて殺され、
無一物で店を出ることになる。
世をはかなみ、老尼の妙海の世話になることにしたお春は、借金の取り立てに来た
笹屋の大番頭・治平に犯されそうになったところを妙海に見られてしまい、
寺を追い出されてしまった。
嘉兵衛の番頭だった文吉と出会ったお春は、彼と行動を共にするが、
文吉はお春のために店の品を盗んだことが分かり、捕らえられてしまう。
そうしていつしかお春は三味線を弾きながら物乞いをする女になっていた。
西鶴一代女
◆感想◆井原西鶴の「好色一代女」をもとに依田義賢が脚本を書き、溝口健二が監督した本作は海外でも評価が高く、フランス・ヌーベルバーグの映画作家たちにも影響を与えた名作です。冒頭の羅漢像のシーンから素晴らしくて、物語の中に一気に引きこまれる感じです。主演の田中絹代は側室、太夫から乞食、娼婦など一人で全て演じ切っているのが凄くて、特に落ちぶれた姿が上手すぎですね。溝口監督お得意の長回しや流麗なカメラワークも見れますし、脇役の方たちも上手い人ばかりで感心します。国宝級の名作なので、まだの方はぜひこの機会に観て下さい。おすすめです。
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