監督 小津安二郎 脚本 斎藤良輔 小津安二郎 撮影 厚田雄春 音楽 伊藤宜二 制作 久保光三
▮あらすじ▮
間借り生活の雨宮時子(田中絹代)は、幼い長男・浩を抱え、まだ復員して来ぬ
夫・修一(佐野周二)の帰りを待ちわびていた。
時子は頼りにしている友人・秋子(三宅邦子)を時折訪ねては
一枚、二枚の着物を託し、それを同じアパートの織江(村田知栄子)に買ってもらうのだった。
今日も時子は秋子を訪れた。
織江はそうした時に「時子さん、きれいだからその気になりゃ、
こんなことしなくってもいいのに--」というのだ。
その日、家に帰った時子は、突然の浩の発熱に驚きうろたえて近所の病院へ走った。
浩は急性大腸カタルであった。
なんとか命だけは取りとめることが出来たが、次に時子の上に降りかかって来たものは
病院の支払いであった。
困り果てた時子の足は織江を訪ねる、そして月島の如何わしい家で
知らぬ男とのひと時を過ごしてしまう。
時子は、犯した過ちの大きいことに今更胸をしめられる思いであった。
そうしたある日、突然夫・修一は帰って来た。
修一は浩が病気をしたことを知り、病院の支払いをどうしたかと訊ねるが、
時子は答える事ができない。何か疑惑を感じた修一に強く問いつめられ、
ついに時子は何もかも言ってしまうのだった・・・・
風の中の牝鶏
◆感想◆斎藤良輔と小津安二郎の協同脚本で終戦後の作品。小津監督作品の中ではあまり目立たない、スルーされてしまいそうな本作ですが、田中絹代が階段から転げ落ちるという珍しいシーンが観れます。(もちろんスタントです)ストーリーは子供の医療費の為に仕方なく一回だけ身を売った妻を、戦地から帰った夫が許すかどうかという話で、夫婦どちらも辛いという心境が伝わってきて良かったです。ラストシーンはグッとくるものがありますので、評価は低めの作品とはいえオススメです。
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