監督 小津安二郎 脚本 小津安二郎 野田高梧 音楽 斎藤高順 撮影 厚田雄春 制作 山内静夫
▮あらすじ▮
大手企業の重役として働いている平山周平(笠智衆)は妻に先立たれ、長女の路子(岩下志麻)
次男の和夫(三上真一郎)と三人で暮らしている。
ある年の秋、路子の上司で、周平の旧友でもある河合(中村伸郎)が周平と会い
婚期を迎えた路子への縁談を持ちかけるが、路子が家を去ることを恐れた周平は
「まだそんなこと考えてないんだ」と聞き流す。
しかし、クラス会に呼んだ元恩師の佐久間(東野栄治郎)が、
独身の娘(杉村春子)と二人でわびしく暮らしているのを知り、路子の幸福のためには
結婚させるべきではないかと考え始める。
ある日、周平は路子に「お嫁に行かないか」と声をかけるが、
路子は取り合わず、機嫌を損ねた。
やがて周平は、路子がひそかに想っている人がいることを知る。
その相手は長男の幸一(佐田啓二)の会社の同僚である三浦(吉田輝雄)だった。
周平に頼まれた幸一が三浦の気持ちを探ると、すでに三浦には婚約者がいることがわかる。
一連の話を聞いた路子は部屋にこもって泣く。
路子は河合の話を受け入れて見合いをし、結婚する。
婚礼を終えた夜、ひどく酔って帰宅した周平は台所の椅子にひとり寂しく座るのだった。
秋刀魚の味
◆感想◆世界中の映画ファンに愛される小津安二郎監督の1962年の作品で、遺作になります。今作も娘の結婚と老人の孤独がテーマとなっており、最後の作品も監督らしさが思いっきり出ている名作です。小津作品と相性抜群の笠智衆が今作も主演というのが素晴らしくて、原節子の代わりに岩下志麻というのも悪くないと思いました。また脇を固める役者たちも魅力的で、茶目っ気のある加東大介やみすぼらしい姿で登場する杉村春子など目が離せません。監督こだわりの小道具類もカラーでより映えて見えますし、同じような内容の映画を多く撮っているのに飽きさせないのは本当にすごいことだと思います。老人の孤独感が見事に出ているラストシーンは必見です。まだの方はぜひこの機会に。オススメです。
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