監督 成瀬巳喜男 原作 川端康成 脚色 水木洋子 撮影 玉井正夫 音楽 斎藤一郎
▮あらすじ▮
東京の会社に通う初老の尾形信吾(山村聡)は妻・保子(長岡輝子)と
長男夫婦・修一(上原謙)菊子(原節子)と鎌倉で暮らしている。
近頃もの忘れをするようになった信吾は、去年の還暦の年に少し喀血したが、
診察も受けず特に支障はなかった。
しかし夏のある深夜、地鳴りのような「山の音」を耳にし、死期を宣告されたような恐怖を覚えた。
修一と菊子の夫婦関係はまだ結婚して二年ほどだったが、修一が外に女を作っていたため、
菊子はいつも浮かない様子だった。
そんな菊子を不憫に思った信吾は修一の浮気相手を探り始める。
修一の浮気相手・絹子(角梨枝子)は、戦争未亡人で、同じ境遇の池田という三十女と
一緒に自活していた。
信吾は、修一が菊子のことを子供だとよく言っていることを知り、怒りに震える。
純潔な処女だった菊子を軽んじ、他人にも平気で下世話な話をする修一の無神経さが
信吾には不可解であった。
菊子は修一の子を身籠ったが、夫に女のあるかぎり生みたくない気持のままに、
ひそかに医師を訪ねて中絶する。
このことを知った信吾は絹子の家を訪ねるが、絹子はすでに修一と訣れたあとだった。
しかも彼女は修一の子を宿していた。
相当に酔って帰宅した信吾は、菊子が実家に帰ったことを聞く。
菊子のいない尾形家は、信吾には廃虚のように感じられた。
それから数日後、菊子に電話で新宿御苑に呼び出された信吾は、彼女の決意を聞いた・・・
山の音
◆感想◆川端康成の代表作とも言える「山の音」を成瀬巳喜男監督が映像化した作品で、上原謙と原節子が「めし」と同様に夫婦役で出演しています。原作はだいぶ昔に読んだことがありますが、なんだか原作とは少し違うなあという印象を受けました。まず、タイトル・山の音が何のことだかよく分からない、信吾の菊子に対する気持ちがそれほど表現されていない、能面が出てくるがこれも何のために出てきたかよく分からない、などです。キャスティングはまあまあ良かったと思いますが、やはり川端作品は映像化は難しいと思いました。それでも原節子ファンなら見ておいた方がよいでしょう。オススメです。
価格:1320円 |
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