監督 小津安二郎 脚本 野田高梧 小津安二郎 音楽 斎藤高順 撮影 厚田雄春
▮あらすじ▮
銀行に勤める杉山周吉(笠智衆)は次女の明子(有馬稲子)と二人で暮らしていたが、
評論家の沼田康雄に嫁いだ長女の孝子(原節子)が幼い娘を連れ実家に帰ってきている。
明子は英文速記の学生だが、遊び人の川口(高橋貞二)らの素行の良くないグループと
いつの頃からか付き合うようになり、その中の一人、年下の木村(田浦正巳)と関係を持ち、
密かに彼の子を身籠っていた。
中絶費用を手に入れるため、明子は叔母の重子(杉村春子)に金を借りようとするが断られ
重子からこれを聞いた周吉は訝しく思うが、明子は本当のことを話すことはなかった。
木村には子供のことは伝えたが、それ以来、彼は明子を避けるようになる。
そんな中、明子は雀荘の女主人・喜久子(山田五十鈴)と知り合い、話すうちに
喜久子が自分の母なのではないかと疑いはじめる。
ある日、重子が茂吉と孝子の元を訪れ、街で偶然喜久子と出会って近況を聞いたと伝えた。
孝子は雀荘を訪れて喜久子が母親であることを明子には言わないで欲しいと頼む。
明子は知り合いから中絶の為の費用を借りて手術を受けた。
その後、喜久子が実母だと知り、自分が本当に父の子なのか疑い始めた明子は母を問い詰める。
母は間違いなく私達の子だと言ったが、まだ明子の疑いは晴れない。
ようやく木村に会えた明子だったが、彼の無責任な態度に憤激する。
自暴自棄になった明子は線路の方へ向かって走りだした・・・・
東京暮色
◆感想◆小津作品はかなりの本数を観てきましたが、この作品はかなり暗い雰囲気の作品で、印象に残っています。暗すぎる内容の為、気分が落ち込んでいる時は観てはいけない映画だと思います。しかしながら、小津作品で見たことがない山田五十鈴が出ていたり、笑顔のイメージが強い原節子が、怒るシーンがあったり意外と見所が多いです。また主演の有馬稲子(代役だったらしい)の演技が素晴らしく、惹き付けられます。何度か観ているうちに私はこの作品が名作な気がしてきました。興味がある方はぜひ観て下さい。オススメです。
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